違う立場の人と積極的に関わる
人というのは、
自分と同じ立場や位置の人は目に入ってきやすく、
その人たちの話は耳に入ってきやすいものです。
今日は埼玉の実家から5時間かけて、
西武秩父線、山手線、東海道新幹線と移動してきて、
夜に京都に着きました。
9ヶ月の娘を連れての移動は、
やはり大変ですね。
新幹線の中でも寝てくれずに、
声を出したり、後ろの席の人に愛想を振りまいたりして、
まぁ、何もできませんね。
メールの返信をしたり、
簡単な作業をしたりしながら帰ってきました。
さてさて、
子どもができると、
自然と、街を歩いていても、電車で移動していても、
子ども連れの家族が目に飛び込んできます。
自分としては、教育に関わる人間でもあるので、
それ以前からも少なからず子どもについては意識していたはずですが、
その比ではありません。
こんなに子どもがいたのか、
こんなに赤ちゃんがいたのか、
というくらいに、街を歩いていても目に飛び込んでくるのです。
興味や関心があるので、
半ば無意識的にそれらのことが目に入ってきたり、耳に入ってきたりするのですね。
アカデミックの世界に入れば、
学問や研究に関する情報や動向が自然と目に飛び込んできますし、耳にも入ってきます。
それは自分の立場や位置がそうさせています。
同じ業界の人の話は、耳に入ってきやすいものです。
公務員、
学校教員、
福祉関係の職員、
法曹、
医師、
政治家、
大学教員、
大企業の幹部、
中小企業の経営者、
学生、
官僚、
主婦、
運送関係の労働者、
旅館の職員、
ウェブ関係者、
クリーニング業者
などなど、
いろんな職業や立場の人と関わったり、お話を伺う中で、
違う立場の人や、違う位置の人と接する重要性をよく感じます。
それは、
自分が選択的に情報を得てしまうからです。
それによって、ものの見方や考え方を固定してしまいがちです。
立場が変われば、
見えるものも、聞けるものも違うので、
意識して、違う立場の人と関わっていくことが学びのヒントになります。
Peter Jarvisは、
成人教育の理論の中で、断絶(disjuncture)の重要性を指摘していますが、
まさに、断絶にこそ学びのチャンスがあります。
違っているからこそ、気づきが得られるのですね。
SNSやウェブの発達は、
自分と同じような立場からの情報を得やすくさせ、
違う立場の情報を得にくくさせる要素もあります。
職業や性別や年齢などが違う人、
違う立場の人の話を意識的によく聞くこと、
自分の立場や位置を変えてみること、
そうやって、意識的に行動していくことで気づけることは多いのだと思います。
今回の帰省にしても、
その立場になったから子ども連れの家族の気持ちがわかるようになったり、
目に入ってくるようになりましたが、
今まで、あまり見えていなかったし、聞けていなかったということですね。
その立場になってみないとわからないことはたくさんあるのですが、
日頃から違う立場というものを意識して違いをつくっていくのが良いのだろうと思いました。
オンライン学習交流会"Ignition"を通してやりたいことも、
そのような様々な職業や立場の人たちを、
地域や仕事の境界を越えて、お互いに刺激を得られるような機会を提供することですしね。
<まとめ>
■人は立場や位置によって、見えるものや聞こえるものが大きく変わってくる。
氾濫している情報の中から、選択的にピックアップしているのである。
■同じ立場、同じ位置の人の話というのは耳に入ってきやすいものである。
それによって、自分の立場や考え方が固まっていく傾向にもある。
■立場を変えるか、積極的に異なる立場や位置の人の話を聞くようにすると、
視点が増えたり、視野が広がったりする。
断絶が生じるような機会にこそ、学びのチャンスがある。