教育方法も大事だが、人間理解も大切

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先日は、

現場で働く指導医のための医学教育学プログラム ー基礎編ー
FCME (Foundation Course for Medical Education)

で教育についてお話しさせていただきました。

医学教育に関わる現場の指導医の先生は、教育理論や教育方法について結構詳しく学んでいる方々なので、教育哲学や思想について触れました。

そこでは、意外と、医学教育と教育の前提が違うのだなぁ、と思わされることがありました。

これはやや言い過ぎですが、端的にいうと、医学教育ではうまくいく方法は何か、を考えるの傾向にあります。

どうやったらうまく教えられますか?
どのようにフィードバックをしたら効果的ですか?
科学的なエビデンスがある教育方法とはどのようなものですか?
学生をどのように評価したらよいですか?

などなど。

忙しい医療の実践の中で、後輩や学生の指導に関わるので、あたり前といえばあたり前です。
どうやったらうまくいくのですか、と問うのは、極めて実践的ですね。

そういうノウハウも確かにあります。

フィードバックをするときには、最初にポジティブなことを言って、ネガティブなことを言って、最後にポジティブなことを言いましょう、とか。

フィードバックをするときには、最初に相手がどう感じたかを聞いてから、こちらがフィードバックをするとよいですよ、とか。

そういうやり方のコツはあります。

しかし、そういうノウハウ以上に、学習者がどういう状態にあるか、学習者が何を考えているかを理解することや、教育者としての自分がどういう考えを持っているか、どういうあり方か、といった学習者理解や自己理解が大切だといえます。

どうやったらうまく教えられるか、というノウハウは確かにあるのですが、そんなことよりも、学習者理解、自己理解、学習者と自分との関係性構築が大事ですよ、
ということを僕なんかは大切にします。

そうなってしまうと、だいぶまわりくどいですよね。
相手の状況を把握して、自分の考えやあり方も整えて、関係性があるところでフィードバックしましょうというのは。

もっと即効性がある方法、うまくいく方法を知りたいと思う人からすると、物足りないかもしれません。

どうやったらうまく教えられるかというノウハウも大事ですが、それ以前に、相手や自分のことをどれだけ深く理解しているかが大事で、その相手理解と自己理解に終わりはないということを把握しておくことも大切です。

医学教育に触れながら、そういう教育哲学や教育思想を豊かにしておくことも必要というか、教育学ではあたり前にしてきたことを考え直すのでした。

<まとめ>

■どうやったらうまく教えられるか、どうやったら効果的に伝えられるか、という手法やノウハウもあるが、その前に関係性もみておく必要がある。

■相手がどんなことを考えているか、どんな人間かという学習者理解、自分がどんなことを考えていて、どんな人間かという自己理解、そして相手と自分との関係性の理解、これが教育の土台である。

■どうやったらうまく教えられるかというノウハウもいいが、教育とは何か、教えるとはどういうことなのかという、教育思想や教育哲学を豊かにすることが力をつける道であることを疎かにはできない。

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