志村光太郎「労働と人格−キャリア論の前提として」『人材育成研究』、2(1)、2006年、pp.59-66

志村光太郎「労働と人格−キャリア論の前提として」『人材育成研究』、2(1)、2006年、pp.59-66
http://www.jahrd.jp/files/essay_files/132/0.pdf

論文を読んでのメモ

労働者は、労働力を人格から切り離して提供しているのだろうか。
本来の自己を仕事に持ち込むことをせず、
組織内で与えられた役割を演じたり、仕事をこなしたりする。
そこでは、本来の自分自身を表現することにはならない。

ライスワークやライフワークと呼ばれる分離は、ここに生じる。

本論文では、
縁起的キャリア形成を背景に持ちながら、
労働と人格の関係性の基本的な問題意識を投げかけている。

仕事において、
人と人が関わる「間」や関係性があり、
それがゆえに誇りや謙遜が生じ、
こだわりへとつながっていくことが述べられている。

昨今のティール組織でも、
自分の存在価値や自己表現としての仕事や職場、キャリア形成が取り上げられているが、まさに仕事のこだわりややりがいへとつながる背景にはここに書かれている問題があるだろう。

会社や職場、組織において、
全人格を投入することができるだろうか。
そして、それがやりがい搾取や人格の搾取という形に陥らずに、自己表現や自己実現へと高められるだろうか。

個人のキャリア形成と組織のあり方の両面から迫る問題であるように思う。